50代半ばのそのおじさんは、狩猟が趣味で、今までに熊を3頭獲った
ことがあるという。熊の肉はもちろん自分でさばいて、調理する。
他に、山鳥やウサ ギ、鹿を獲るらしい。鹿が一番食べやすいとか、
山鳥は鍋でとか。私の頭の中はジビエ〜〜、リエーブル、べガス、
コルビエール、雷鳥・・・とフランス料理 が渦巻いた。
でもご本人は、
「だども、最近はもうあんまり食べる気もしなくなってね〜。」
ウサギは味噌味でごぼうと甘辛く煮たり、野鳥は鍋にしたり、至って
普通のお惣菜に仕立てる。
「これからは、まず鮎でしょ。そしてきのこ狩り。いろいろ採れるけど、
自分は舞茸ともだしくらいしか食べねから、とらねぐなったね。
その後はコレ(狩 猟)で、春は山菜ね。スキーも好きだから、仲間と
ペンション泊まってペンション中の酒飲んでしまったこともあるよ。
はははは!遊んでばっかりで、仕事は 合間合間にしてんだは〜!
ははははは〜!」
「スーパーに買い物なんか、あんまり行かなくても間に合いますね。」
「えっ、だって山までは500mだけど、スーパーは2kmくらい行かないと
ないからね。」
豊かに生きるとは、こういうことかな、って。
大地の恵みに寄り添い、無理せず自然体で。
「働く」ことでも、「生活する」ことでもなく、「生きる」ということはもっと
シンプルでいいのだと。
30代後半にさしかかった私は、いつも何かに追われている。
自分のことだったり、子供の教育だったり、社会人としての立場だったり、
楽しみな予定さえも、追いかけてくるようにやってくる。
でも、私のキャパシティは決まっている。
ミニマムにミニマムに。目の前の大事な人と大事なことだけでいい。